大好きなレスラーだから、最後を見届けたかった。
だから、大学の同窓会や出張を断り、4000円のチケットを転売屋から7000円で買いながら行ってきた。屈。
いまもなに書いていいのかよくわかんねえけど、やっぱりなにか残したいので記録。
あいにくの雨だったが、俺みたいな思いを抱いたプロレス好きが北の丸公園前にどっと集まり、武道館前に列を作っていた。
こんなのはじめて見たわw
一時間前に会場に着くように出発したんだけど、結局席に着けたのは第一試合開始直前だったげな。
第一試合にもかかわらず、会場はみっちり。
17000人入ってたんだとか。
こんなにプロレスで武道館がいっぱいになったのって、もしかしたらはじめてなんじゃねえべか。
試合は第一試合の渕vs熊野からはじまり、全日・新日勢を交えながらNOAHのいまをフルに見せてくれるものだった。
試合の詳細はいろんなところで出てるのでここでは割愛。
http://live.sportsnavi.yahoo.co.jp/live/fight/all/2013051101/
とりあえず雑感。
第一試合 渕vs熊野
渕が相変わらずの名人芸で新人熊野を圧倒。
ドロップキックとボディスラムだけで試合を組み立て、とどめはバックドロップ2発。
いやー、まだまだ全然やれてるな渕。
第二試合 SUWA&平柳 vs 石森&小峠
平柳がファミリー軍団の正当後継者になってるなあ。
わざわざリングサイドに新聞用意させて場外唾攻撃とかやってたしw
野田元首相の席でもやってたけど大丈夫なのか。
ラストでSUWAが事故ったくさいのが気になる。
引退セレモニー
小橋の恩師からはじまって、ジャストミート福澤、徳光さん、野田元首相(民主党反省会はどうしたw)に続き、エース、ハンセンのビデオレターをはさんで百田、蝶野、そして川田が花束贈呈に。
もうこの時点で泣きそうに。
第三試合 多聞&志賀 vs 鼓太郎&青木
よそにちょいちょい出てる志賀はともかく、多聞が思ったより動けててびっくり。
きっと小橋の引退試合のために、すげえがんばって体作ってきたんだろうなぁ……
志賀も地味にうまかったりコミカルなところを出したりとイイカンジ。
第四試合 天龍&小川 vs 森嶋&雅夫
天龍が……老けてる……老けてる……
かなり見た目がおじいちゃんになってただけでなく、腰が悪い感じ。大丈夫かー。
のに対して、小川がまったく変わってねえw
こいつも荒木飛呂彦とおなじ種族の人なのか。
あと、雅夫があいかわらず超雅夫。
さすがの名人芸。
「遅い!」が聞けなかったのが心残りw
第五試合 杉浦・ヨネ・斉藤 vs 棚橋・永田・小島
あいかわらず杉浦は良いのう。
そして永田さんが相変わらずの永田さんっぷり。イヤ、うまいんだけどね。
あと、どうしてヨネはあれだけ動けるし体もあるのに微妙に塩が抜けないのか。
惜しい。
小島もなあ……全日上がる前のアレな感じは抜けてるけど、どうしてああも小物感が抜けないのか。
第六試合 丸藤・鈴木 vs 高山・大森
正直なところ、あの退団のごたごたを知ってる身としては「よく呼んでもらえたな大森さん」てのが率直な感想。まあ、百田が呼ばれるくらいだからなあ。
ぶっちゃけ、この対戦だけで客呼べるレベル。
マルもみのるもあいかわらずよく働くのう……
高山もやっぱりいい。
あ、大森さんですか?
相変わらずの大森さん具合でした。
どうして大森さんはああも大森さんなのか。
チョップしただけで場内が失笑に包まれるとか意味がわかんねえ。
タイミングとかメリハリとかそういう部分なんだろうけど、なんかこう、アレだ。なあ金澤。
第七試合 小橋・武藤・秋山・佐々木 vs KENTA・潮崎・金丸・谷口
そしてファイナル。
比喩でなく、武道館が揺れるほどのコールの中、小橋が入場してくる。
フードをかぶったまま、何度も客席を見回しながら。
そして、当たり前のように小橋が先陣を切り、KENTAと対峙する。
ゴングが鳴った。
KENTAのブレークからの挑発するような張り手に、怒りの表情を浮かべる小橋。
いつもの、熱くて怖い小橋がそこにいた。
試合も、引退試合によくある接待のような空気は全くなく。
むしろ小橋はみずからリングに出て、1秒でも長く4人の元付き人たちとの接触を続けようとしていた。
対する4人も、必死で小橋に食らいつき、小橋をたたきのめそうと全力を尽くした。
それが小橋への恩返しであることを、なによりも知っている4人だから。
KENTAは全力で、いちばんの自信を持つ武器、ミドルキックをたたき込んだ。
潮崎は、チョップでの応酬をひたすらに続けた。それは小橋のライバルでもある健介にも劣らぬ大きな音を武道館に響かせた。
金丸は、あの小さな体で小橋の打撃を耐え続け、ついにタッチアウトで投げ捨てた。
谷口は、おそらく自らができるすべてを見せたかったのだろう。小橋がもっとも嫌うであろう凶器、さすまたをまで持ち出して小橋を責めた。
武藤、秋山、健介もまた、小橋を引き立てるべく全力で戦う。
そして、およそ40分。
武藤がムーンサルトを金丸に決めたあと、小橋とコーナーを指さした。
小橋はいつものごとく、力強くこぶしを握りしめ、コーナーに登る。
現役時代から「キレイなのは武藤、痛そうなのは小橋」といわれていたムーンサルト。
悲鳴にも似た歓声の中、小橋が飛んだ。
そして、武道館の全ての人がスリーカウントを叫ぶ中。
試合が終わった。
小橋のすべてを、もう一度、すべての人にみせつけて。
そして、小橋の現役生活が終わった。
泣き顔はみせず、終始照れくさそうな笑顔で、小橋は引退していった。
ただ、テンカウントが終わり、リングをオレンジと紫の紙テープで埋め尽くされたあと、赤コーナーを軽く叩き、そこにわずかの間だけ顔を埋める。
わずかな時間だけみせたその所作に、小橋のプロレスへの想いと、プロレスを引退しなければならない名残惜しさ、寂しさ、そして悔しさが溢れるようだった。
大「コバシ」コールの中、小橋は花道を歩いて行った。
客席をなんども見返しながら、しかし笑顔で、すべての人に感謝を伝えるように。
そして、最後にゲートで客席を振り返り。
笑顔で両手を揚げ、リングを去っていった。
***
退場の時、リングにいっぱいにひろがった紙テープを、西永レフェリーが必死にどかしていた。
いかに大量とはいえ、歩けないほどではない。
しかし小橋は、それを踏み越えることができないほど膝を痛め、腰を痛め、体を痛めていたのだ。
そんなになるまで小橋は戦い続けていた。
鉄人。
その名に恥じることのない、鍛え上げた肉体と、そしてなによりも強い精神力で。
体が小さく、『善戦マン』と呼ばれていた時代があった。
ジョニー=エースと組んでアジアタッグを取り、三沢とともに超世代軍で戦っていた時代があった。
秋山とともにBurningとして戦った時代があった。
いつの時代も、小橋は全力だった。
全力で戦い、全力で耐え、全力で攻めた。
どんなときも手を抜かない戦いっぷりに、プロレスファンは大きな歓声で答えた。
その小橋が、自らの決断で引退する。
そしてそれを支えるために、いま日本で最高ともいえる選手たちが集まり、笑顔でその引退を見送った。
そう、笑顔。
対戦した選手も、参加した選手も、観客も。
涙を流しながらも、やはりその顔は、みんな笑顔だった。
いまなお、小橋の引退をどう受け取れるべきなのか、言葉が見つかっていない。
しかし、これだけは言える。
小橋、本当にありがとう。
俺はプロレスが好きで、本当に幸せだ!
幸せになれよ!
***
最後に。
テンカウント前、矢島アナが涙に声を詰まらせながらのインタビューで、三沢・馬場について話した時のこと。小橋は、引退試合を行うことのかなわなかった2人に触れた。
「三沢さん、馬場さんには心の中で引退しますと、天国に届くようにいいました。」
そして巻き起こる大ミサワコール。
このときの雰囲気をサムライTVの三田佐代子さんが、非常にうまく表現されているので、それを引用して終わりの言葉としたい。
『万雷の三沢コールの時には武道館の空で、照れくさそうにニヤッと笑う三沢さんの姿が見えた気がしました』
『プロレスラーがきちんと引退試合が出来ること、それを私たちが拍手で送り出してあげられることは実は簡単ではなくて、それが出来て本当に良かったんだと気づくことが出来た。今日は小橋選手だけじゃなくて、三沢選手をもみんなのコールで送り出してあげられた気がしました』
また泣いてしまったじゃないですか…
返信削除初武道館が超満員だった私も特大コバシコールに涙また涙でした・・・
返信削除プロレスファンってのは熱くて優しい人ばかりだ。
>ほりびさん
返信削除俺も泣きながら書いてたのでアイコってことで。
>匿名さん
あの会場の17000人がすべて小橋が好きって言うのがすばらしいと思うんですよ!
7才のムスメも途中暇そうにしてたのに、終わりの2試合だけは食い入るように見てました。
やっぱり、極まってるものには人を感動させるなにかがあるんですな。
このエントリー待っていました!
返信削除会場で直接見られたことが羨ましい!キイイイ。
まだまだ現役でがんばって欲しい、と思う一方で、
体中がぼろぼろなのでゆっくり休んで欲しいという複雑なファン心理。
本当に「お疲れ様」ですね。
イヤッハー! 親子4人でいったぜ!
返信削除一人で行こうと思ったらヨメに連れてけいわれて。
ムスコは生後7ヶ月でプロレスデビューだぜハッハー!
小橋は、俺の中では止めて欲しいのと続けて欲しいのが7:3くらいの感じでした。
ずっと見てたいけど、命削ってるのがわかるからなあ。
だからこそ、あんな数のファンが集まってくるんだろうけど。